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DR.WEIL’S GRACEFUL DAYS
ワイル博士のグレイスフルデイズ

グレイスフル(Graceful)
「潔い」「優雅な」「気品のある」などの意味。ワイル博士が語る、人に本来備わっている自然治癒力や免 疫力がいきいきとはたらくための潔く優雅な日々の送り方。

アンドルー・ワイル

医学博士。1942年アメリカ・フィラデルフィア生まれ。アリゾナ在住。アリゾナ大学医学校・統合医療プログラム部長。西洋医学と代替医療を統合する「統合医療」の第一人者。『癒す心、治る力』『ヘルシーエイジング』『ワイル博士のうつが消えるこころのレッスン』(以上角川書店)など著書多数。
オフィシャルホームページ:http://www.drweil.com/



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ストレスや不安の軽減、リラクセーションの促進に効果的 「癒しの呼吸法」


(翻訳 上野圭一)

呼吸法の効果にはストレスや不安の軽減、リラクセーションややすらぎの促進、気分の転換、活力の回復などがあげられます。呼吸法は特別な道具立てもいらず、だれもが、どこにいても、簡単に実行することができます。
ただし、望ましい結果を得るためには多少の訓練が必要です。いったん身につけたら生涯その恩恵をこうむることができるとすれば、多少の訓練をする価値はじゅうぶんにあるというものです。なにしろ、呼吸法によって得た心身の鎮静作用には「病気になる傾向を遠ざける」という得がたい効果が隠されているのですから。
呼吸は生理状態と気分をふくむ思考・想念のプロセスに強い影響を与えます。自分が今している呼吸をとくに変えようとしなくても、ただ「呼吸に注意を向ける」だけで、あなたはリラクセーションの方向に舵を切ったことになります。
自分がストレスの多い状況下にあると気づいたら、まず呼吸に注意を向ける習慣を身につけましょう。スピリチュアルな伝統が長い文化では、意識を吐く息と吸う息に向けるほかは何の修行もすることなく、悟りの境地に入ったという人たちがいるそうです。


わたしがよくお薦めしているのは「4・7・8呼吸法」(くつろぐ呼吸法)です。楽な姿勢で座るか、仰向けになって行ないます。この呼吸をしているあいだは、舌の先を上歯の裏側に軽くつけたままにしておいてください。

「フゥー」という音をたてながら、口から息をぜんぶ吐き切ります。
口を閉じ、こころのなかで1から4まで数えながら、鼻から静かに息を吸います。
4まで数えたら息をとめ、とめたまま1から7まで数えます。
7まで数えたら、「フゥー」という音をたてながら、ゆっくりと口から息を吐き切ります。この過程は1から8まで数える時間をかけて行ないます。

これで1サイクルの呼吸が終了です。また最初にもどって息を吸いながら1から4まで数える過程に入り、あと3回、ぜんぶで4サイクルを行なってこの呼吸法を終わります。少なくとも1日に2回、この4サイクルを実行してください。

注意するのは、吸気を鼻から静かに、呼気を音をたてながら口から行なうという点です。途中で息が苦しくなったら、数の数え方を早めてもかまいません。ただし、呼気・停止・吸気という3つの過程の「4・7・8」という比率は維持してください。練習を重ねていくうちに呼吸はだんだん長くなっていき、呼気も吸気も深くなっていきます。
最初の1ヵ月は、一度に4サイクル以上やらないでください。慣れてくれば、場合によっては8サイクルまで伸ばしてもかまいません。

午後の眠くなる時間に「景気づけ」が必要な人には、別の呼吸法があります。瞬時にエネルギーを充電し、あたまをはっきりさせるための呼吸です。
最初は15秒からはじめて、5秒ずつ長くしていき、1分まで伸ばすことができます。

背筋を伸ばして座り、目を閉じ、両肩をゆるめます。
「4・7・8呼吸法」と同じく、舌の先を上歯の裏側に軽くつけたままにします。
口を軽く閉じて、鼻から急速に息を吐き、急速に息を吸います。
呼気と吸気を同じリズムで、短くくり返します。空気がポンプから出たり入ったりする感じで、胸がほとんど機械的に反復運動をくり返すように行ないます。
できれば1秒間で呼吸を3回くり返すリズムで、鼻息も荒くつづけるのがコツです。

首のつけ根(鎖骨の上縁)と横隔膜の筋肉に、呼吸による収縮が感じられるようになれば理想的です。両手を軽く首のつけ根にふれながら呼吸をすると、筋肉の収縮を感じることができます。